JEFF BECK 2001 U.S. TOUR in East Coast

17th March 2001 PHILADELPHIA PA. TOWER THEATER


「Washington Dulles空港へ」 いよいよ出発の時が来た。成田Expressに乗るために向かった東京駅には30分も早く到着してしまった。土曜の朝だけあってあまりにもスムーズに移動ができてしまったためだ。しかしそれとは逆に、飛び石連休の初日とあってか空港は非常に混雑していた。長い行列を我慢し、それでも余裕をみてチェックを済ませ事を進めたのだが、結局機内への搭乗は一番最後、係員に探しにこられてしまった(汗)。そんなバタバタとした朝であったが、午前11時過ぎ、成田発ANA HN002便は無事離陸し目的のWASHINGTON DULLES空港へと向かった。
ワシントンと東京の時差は14時間、ほぼ昼夜逆転の生活が始まる。とはいっても今回の強行ツアーはなんと2泊4日(!)時差なんて気にしている余裕はない。到着時間は現地時間午前10時、体内時計は夜中の12時だ。とりあえずこの数ヶ月間の睡眠不足(昨晩も睡眠3時間)により機内では楽勝爆睡だ、、、なんて考えていたのだが、旅なれないのでそう上手くは行かず。。。


「初めてのアメリカ本土」 空港に到着すると同行者の友人であるMさんに出迎えていただき、そのまま車に乗り込みハイウェイで市内へ。広大な土地と自然、モダンな家屋、いかにもアメリカ!という景色の中、ハイウェイで目にするのは殆ど日本車。それもホンダだ。特に何を期待していたわけではないのだが、車好きの私にこの光景は少々寂しかった。米国車はダッジブランドのピックアップ・トラックが目を引く程度だ。欧州車(特にイタリア系)は皆無。しかしそんなことはどうでもいいよと言わんばかりに、広大な片側4車線(中央分離帯も広い!)のハイウェイには思いっきりアメリカンテイストを感じた。


「治安が良い!?」 ホワイトハウス周辺に立寄って軽く観光をしたあと、直ぐにホテルへ。ホテルはホワイトハウス正面のThe Hay Adamds Hotelを予約した。事前にホームページで見た感じだと古いたたずまいが由緒正しい感じをかもし出す高級ホテルだ。選択の理由はブルジョア感を味わうためではなく、ホワイトハウスの前なら治安もいいだろうといった発想だ(笑)。ただ、ツインで予約しチェックインの際も確認しているのにも関わらず部屋に行って見たらダブルだったり、2個渡された部屋のカギの1つはまったく別の部屋のものだったりと、意外とアバウトであった。

HardRock Cafe とりあえず午後4時にホテルロビーで待合せをすることにして、食事に出かけることにした。街をぶらつきながらハードロックカフェに入ったが、土曜日のちょうど昼時で意外と混雑していた。店内には特に目を引く展示物も無く、ホンモノのAmerican Girlの早口攻撃にフンフンと分かった振りをしながらオーダーを済ませ、やがて出てきた焼きすぎて堅くなったベーコンチーズバーガーをほおばった。 ホテルに戻る途中、ブックショップに立ち寄りオンライン端末で"JEFF BECK"を検索。5〜6件ヒットしたがすべて取寄せだった。


「フィリーへ」 夕方4時30分、再びMさんに迎えにきていただきフィラデルフィアへ車で移動を開始した。天気はあいにくの雨模様で視界の悪い中、ハイウェイを2時間ほど走り目的のタワー・シアターへ到着。既に入り口付近にはたくさんの人が集まっていた。近くのパーキングメーターに車を止めいざ会場へ。既に開場されており、まずはGOODS売場に直行した。期待していた通り長袖のTシャツがあったことに喜びながら視線を左へ移すと、何とマグカップまであるではないか!(詳細はWorld Tour 2001 USのページで)。売場のにいちゃんの雑な喋りに困惑しながらもとりあえずCDとCAP以外一通り購入した。


「優しい巨体男と頑固な金髪女」 座席はJ-110、前から10列目かと思ったらAの前にはさらにAAとかのブロックがあり真中よりやや後ろであった。席についてしばらくすると巨体の男が「そこは俺の席だぞ」と言ってきた。チケットと座席番号を再確認したが間違っていない。ただこの会場の座席番号は背もたれではなく肘掛に書かれている(これが紛らわしい)。右の肘掛が自分の番号なのか?はたまた左が正解か??自分より左は端まで埋まっており動くに動けない。隣の人に確認を促したがその席に座る女性は「私は間違っていない!!」とまったく動こうとしない。あーだこうだとらちがあかず結局巨体男の呼んできた係員のお世話に。係員は「右の番号が席番よ!」と答えを出してくれ、我々が間違っておりずれることに。"ごめんね"と巨体男に一言告げると"いいよ"と見かけによらず優しい返答が。しかし、隣の女性はそれでも文句を言って動こうとしない。う〜ん、金髪頑固女恐るべし(汗)。

この日の前座はアコギ1本で華麗なテクニックを見せるWilly Porter。それなりに会場も盛り上がっていた。そして約一時間の前座が終わりいよいよJBの登場だ。



「オープニング」 開演前の音楽は日本公演と同じだったと思うが、BLACKBIRDによるつなぎはなかった。Tower Theaterはステージに幕のある劇場であったため、演奏開始してからステージが現れるといったオープニング演出効果の高いパターンで開始された。場内の照明が落ちオープニングのEARTHQUAKEのイントロが始まると最前列付近の興奮した数名が立ち上がって拳を振り上げ出した。こちらにも熱狂的ファンがいるんだなという嬉しい思いと、始まった!というワクワク感を抱きながら幕が上がっていく。演奏が始まると皆おとなしく着席をしだしたが、それでも立ち続ける男には後ろからブーイングが、、、そしてチラシを丸めたものが飛んできていた。話には聞いていたが演奏中は着席、拍手をするときにスタンティングという形式が定着しているようだ。この視界に多数確認できる巨体に乱立されては窮地に追い込まれてしまうであろう私にとっては歓迎すべきことであったが。


「最高の演奏と映像効果」 日本公演よりは明らかにテンポアップしてスピード感があり音量も比べ物にならないくらい大音量で、耳に身体に心地よい始まりのEARTHQUAKEは、演奏自体ミスも無く安定したものであった。
この日のJEFFは白いTシャツに黒いベスト姿でステージ中央に立ち早くも強力なパワーを発していた。 立て続けにお馴染みのSTAR CYCLEを演奏し、PUMPへ。PUMPはこの日の中でも1・2を争う良い演奏で、今夜はノっているなと誰もが実感したと思う。
そしてその流れを受けてイイ感じで始まったのがBRUSH WITH THE BLUES。ミスタッチもなく何より音がよく出ていた。特に中盤から後半にかけてはまさに熱演、魂のサウンドが会場全体を打ちまくり、これこそ今まで聴いた中で最高の出来であった!!!!!
ROY'S TOYではオープニングのエンジン音に合わせて円形スクリーンいっぱいに自動車のエンジンが、続いて古いカーレースの映像が映し出された。それこそ50年代位の古〜いもので、曲にマッチしていたかどうかは少々疑問だが、良い演出効果を生んでいたことは間違いない。今回のステージでは数曲に非常に効果的に映像が使われていた。
BLAST FROM THE EASTをはさみDIRTY MINDへ。ここでもスクリーンにはセクシー美女が通りすがりの男達の目を釘付けにするコメディータッチの映像が何度もループされ使われていた。コメディー好きのJBらしいおちゃめな演出だ。最後に美女の脚線を凝視するホテルマンのアップから演奏するJBに映像が切替わるといったおまけ付で。そう円形スクリーンには演奏姿もカメラにより映し出されていた。


「前傾姿勢」 2月に始まったこのツアーも終盤にさしかかりバンドもかなりのまとまりをみせているようだ。曖昧だったところはきちんとカウントを入れたりと日本公演からはだいぶ見直しがされていた。特にドラマーは数をこなし慣れてきたのもあるだろうが、見違えるように安定したプレイを聴かせてくれた。彼の少々前のめりな姿勢で力強くスティックを振りビートを刻み、手数はさほど多くないがフラムを多用したフィルは今のバンドにマッチしていて結構好きだ。


Jennifer熱唱」 RICE PUDDINGメドレーのあと突然始まったBEHIND THE VEIL。このレゲエのリズムで今回のステージ構成に非常にいいアクセントを付けられたと思う。誰の選曲か気になるところだ。 LOOSE CANNONをはさみJenniferのヴォーカルをフィーチャーしたROLLIN' AND TUMBLIN'。なんとここでJenniferはギターを下ろし、ハンドマイク姿で熱唱してくれた。これにはオーディエンスも大喜び。が、やはりギターが無いと少々照れくさいようで落着かないようだ。事実音程もちょい外し気味だったような・・・(笑)。しかしそんな気持ちを知ってか、続くLED BOOTSではJenniferのギターをフィーチャーさせフラストレーションを吹き飛ばさせていた(?)。


Randyの自己主張」
 ステージ上でJBとRandyは前にも増してふざけあっていた。JBは相変わらずいたずら好きなのだろう、気の良いRandyにちょっかいを出しまくっているに違いない。Randyは本当にいいひとだ。それについてはバックステージの項でご説明しよう。そんなRandyはYOU NEVER KNOWがセットリストから外されたことによりベースソロが無くなり、更にステージから消える場面が多く見受けられた(今回の日本公演で聞かせてくれたソロは好きでやっている様には見えなかったが・・・)。その分、スラッピングを多用して自己主張していたように感じたのは私だけかな。
今回のUSツアーと日本公演とのセットリストの違いは、YOU NEVER KNOW, BLUE WINDの2曲が無くなり、BEHIND THE VEIL, LED BOOTS, GOODBYE PORK PIE HAT, ROSEBUD, WHAT MAMA SAIDの5曲が追加されており、更に曲順を効果的に組替えていた。


「全身鳥肌!」 ステージ最後を飾ったのはA DAY IN THE LIFE。99年の演奏ではかなり抑揚に富んだ演奏に感動した記憶があるが、今回はどちらかと言うとあっさりと淡々とした印象を受け、ラストにしては少々物足りなさを感じた。
アンコールはお馴染みWHERE WERE YOUで始まったが、この日のオーディエンスはざわざわとしており(一部悪ふざけ状態)それがやたらと気になったが、演奏はこの日の調子の良さを語るべく素晴らしい出来であった。そして待ってましたとばかりに今回の目玉!Jenniferと正面から向き合い絡み合ってGOODBYE PORK PIE HATのイントロを。JenniferのJazzyな責めに少々突っ込みきれていなかったような感もあったが、全身鳥肌状態になったのは言うまでも無い。そしてメドレー状態でROSEBUDを。最初は何が始まったのか分からないアレンジでCDとはまた違う世界を造っていた。
アンコールを締め括ったのはWHAT MAMA SAID!良い曲だがEARTHQUAKEと完全にかぶっていおりセットリストに加えるのが難しかったのだろう。最後の最後にこの曲を持ってくるなんて意表を付かれた感じだが、この曲には「まだまだこの先も(ツアーを)やるから期待していてくれ!」と、そんなメッセージが込められているような、、、そんな気にさせた演奏であった。

全体を通してこの日のJEFFは非常に調子が良く、自身もノッて演奏を楽しんでいたように見えた。結果として演奏内容も素晴らしいを連呼できる程、完成度の高いパフォーマンスであったように感じた。



「バックステージへ」 ショーが終わると事前に受取っていたバックステージ・パスを握り締めバックステージの入口へ。 そこでしばらく待たされた後、我々取材班(?)はいよいよ楽屋へ潜入。狭い部屋にテーブルと椅子が置かれ、メンバーやスタッフが食べたであろうサンドウィッチや飲み物が置かれていた。ふと見ると、その狭い部屋に招かれたラッキーな客人の中にギターを抱えた少年がいた。いかにも「ガイジンの子供」というGood-Lookingな彼が抱えるギターにはたくさんのサインが書かれており、話し掛けるとサインをひとつずつ指差して説明してくれた。しばらくすると片手にオレンジジュース(カクテル?)を手にしてJenniferが現れた。JEFFはいつになったら現れるんだ・・・ドキドキ&イライラしていると何やらざわめき立ってきた。待ちに待ったJEFFの登場だ!


T or P ?? 汗を拭いてくしゃくしゃになった頭で現れたJEFFはあっという間に取囲まれてしまった。隙をみてJEFFの隣に行くのだがなかなかきっかけが掴めない。昨年大阪で会ったとはいえとにかく緊張の嵐だ。まずはサインが欲しい、写真も撮りたい、出来ればビデオも回したい(欲張り!)。やっとの思いでチャンスが巡ってきたと思ったら、ツアマネがJEFFを隣の暗い部屋へ連れて行ってしまった。何やら打合せを・・・。当然客人達も2人について大移動(笑)。おいおいこんな暗い所じゃ写真も撮れないよ!と思いながらも、ついに日本から持ち込んだLes Paulのピックガードを差し出す時がきた。"素晴らしいステージでした、ありがとう!"とお礼を言い、サインを。手放すことは絶対ないので私の名前も入れてもらおうと名前を告げて、、、 "T"と"P"を間違えられるおまけ付であったが(すぐに訂正してもらったが)単純にサインをしてもらうより思いで深いものになって良かったかな。ステージ直後の疲れている中でのファンサービスには心から感謝感謝。JEFFは笑顔も多く、時折おどけた表情をみせていたことからも、上機嫌であったと思われる。しかし、、、相変わらず女性には特別優しいJEFFであった(笑)。つづく・・・

by Jeff Becker T.


追:今回の渡米に際し、現地での一切を面倒みて下さった六浦さんに心から感謝申し上げます。もちろん、Mikoさんもありがとう!

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